ストレスチェックは
本当に「一次予防」の役割を果たせているか

 さて、メンタルヘルスといえば、昨年末より、50名以上の従業員を擁する事業所では、毎年1回のストレスチェックの実施が義務化された。第1回目の検査期限は11月末だが、既に皆さんの企業では実施されているだろうか。チェックの結果ストレスが強いと判断された人は、希望があれば医師が面談するという制度だ。厚生労働省はストレスチェックと面接指導により、メンタルヘルス不調の未然防止が行えるとして、これを一次予防と位置付けている。不調が起こってしまった場合、それを早期に発見し、適切に対処するのが二次予防。休職や長期の職場離脱があれば、その復帰を支援するのが三次予防だ。

 しかし、どうやらストレスチェックを行う立場にある医師や保健師はこの制度に対して懐疑的なようだ。10万人以上が登録している医師専用コミュニティサイト「MedPeer」において、ストレスチェック制度がメンタルヘルス不調の一次予防に効果があると思われるかという質問がなされた(有効回答4031件)。

 その結果、最も多かったのが「どちらかと言えば効果はない」の45.3%。「まったく効果はない」は16.8%と、ネガティブな意見が6割を超えるという結果になった。

「どちらかと言えば効果はない」と考える産業医のコメントの一部を紹介すると、「企業の専属産業医を行っています。実際そのストレスチェック後の面談も行いましたが、面談時点では改善していたりと有効であることは少なく、また、職場へ不満がある人がハイリスクになる印象があり、ややメンタル不調と主旨がずれていると思います」(40代、産業医、男性)、「高ストレス判定の中でも、面談を申し込んだほうがよさそうな人が申し込んでこない」(40代、産業医、女性)とのことだ。

 始まったばかりの制度なので、効果のほどもまだわからないが、ここまで否定的な意見が多いというのには驚かされた。しかし、これはあくまで医師の立場からの意見。企業側がストレスチェックの結果を積極的に職場環境の改善に役立てるならば、医師たちが考えているほど、効果がないとは限らないようにも思える。また、企業は実施する義務があるものの、受検するかどうかは従業員の判断に委ねられている。健康診断のように「受けるのが当たり前」という意識が根付いていけば、本人が気づかないうちに疲弊し、最悪、自殺につながってしまうというような事態は避けられるのではないだろうか。

 というか、会社員に限らず、誰でも気軽に受けれるような制度があれば、「ストレス社会」なんて言葉もなくなるんではないかなと思ったりもする。ストレスは誰だって感じるものなんだから。どうですかね、厚生労働省さん。