経沢香保子氏はベビーシッター事業のどこに勝機を見出したか

松田 起業した直後の経営はモーターボートの運転みたいなもので、「あそこに岩があるからどうする?」とか一々聞いていられないかもしれない。スピードが命だから聞いている間に沈没してしまう。でも会社が大きくなってくると、そうも行かなくなる。これは私も自分の本(「愚か者」)で書きましたが、タリーズ時代、海外出張中に臨時役員会が急に開かれて、私は電話で参加したものの十分に意思疎通できないまま、資金調達が決まったことがありました。実は役員が社外の方とつながって、計画的に進められた事だったと後でわかりました。まあ、紙で書いた誓約書の内容を平気で破るような政治の世界に比べるとマシかもしれませんが。そうした経験を通じて、内部のことを任せっきりにして新規開拓するだけではいつかダメになると気づきました。

経沢 やっぱり、ねじ伏せたり、人との軋轢は放置したりしてはいけないんだといろんな経験で気づかされました。放置しておくと、いつしかしこりになって大きくなる。若い頃は自分の意見が通らないと怒ってばかりいましたが、最近は怒りにはエネルギーは使わなくなりました(笑)。「どうやって解決すれば良いのかな?」と頭を巡らせることで必ず解決するということを知ったからだと思います。

 いま、C to Cのベビーシッター事業を40代になってから、できることがよかったと思っています。実際にかなり難易度の高い「人の心」「人の命」を預かる仕事の中で、「急に利用延長になったら、どうする?」「ドタキャンがあったら、どうする?」といったルールを、シッターさんにもユーザーさんにも平等に感じていただくように、一つひとつ決めていかなければならない。クレームがあった時も、社員には「クレームは“神の声”なんだよ」って言っているのですが、なぜこの人は怒っているのか?怒りの奥に、実はそこにヒントをいただいているのです。

経沢さんも気になる松田さんの今後
ともに七転び八起きで日本を元気に

経沢 ところで公太さんは政治の世界を離れて、これからどうされるんですか?今だから、話しますと、キャラクター的に合わなかったような(笑)。外国でお育ちになられたからか、ずばずばおっしゃるし、新卒で入った銀行とか、政治の世界とか苦手そうなところでいつも入り込むよう……。

松田 さすがよく見ていらっしゃいます。その通りです。しかし「合ってない」と言わると、かえって挑戦したくなるのが私の性格でもあります(笑)。

経沢 私が公太さんを応援したのは、経営者を経験した人がもっと政治家になっていいと思っていたからでした。でも、永田町は実績のある経営者の方でも大変な世界なのですね。どのあたりが誤算だったのでしょうか。