“J2の主”水戸ホーリーホックが悲願のJ1昇格!「お金がないチーム」を根底から変えた2つの戦略とはトリニータ大分に勝利して初のJ1昇格を決め、喜ぶ水戸の選手たち/29日、ケーズデンキスタジアム水戸 Photo:JIJI

昨シーズンのJ2リーグは水戸ホーリーホックが樹立した伝説とともに幕を閉じた。2000シーズンからJ2で戦い続けて実に26年目。強化費を含めた予算でJ2平均額を大きく下回り、強力な外国籍選手も有名な日本人選手もいない「J2の主」が、なぜ悲願のJ1昇格にJ2優勝で花を添えられたのか。奇跡にも映る躍進を遂げた背景には、合言葉に「お金がなくても勝てる」をすえながら、創設31年目の水戸をJリーグ全体で屈指の育成クラブへ変貌させた男たちのドラマがあった。(ノンフィクションライター 藤江直人)

J2に26年間もの間在籍し
「J2の主」と揶揄されるように

 Jリーグ史上で前例のない数字を2つも引っさげて、水戸ホーリーホックが初めてJ1へ挑む。

 1つはJ2に在籍した年数となる。日本フットボールリーグ(JFL)からJ2へ昇格したのが2000シーズン。以来、J2の舞台で戦ってきた26年間、トータル1103試合はJ1へ昇格するクラブでは群を抜いて最長および最多となり、いつしか「J2の門番」や「J2の主」と揶揄されるクラブとなった。

 もう1つは昨シーズンに在籍した外国籍選手が「0」という点だ。J1昇格クラブでは史上初となる“助っ人”ゼロは、有名日本人選手がいない点も含めて、水戸の経営規模と密接にリンクしている。

 Jリーグが公表している経営情報で最新となる2024年度版で、水戸の売上高は12億2400万円。J2の20チーム中で13位で、J2の平均額19億3500万円も大きく下回っていた。ちなみに同シーズンにJ1へ昇格した清水エスパルスが50億300万円、横浜FCが33億1400万円、ファジアーノ岡山が20億3600万円だった。

 さらに水戸の売上原価で、監督やコーチ陣、選手たちの年俸総額となるチーム人件費は3億7200万円。これもJ2平均額の6億7400万円を下回るリーグ12位で、清水の21億5700万円、横浜FCの14億700万円、岡山の6億6800万円に及ばない。

 水戸に関する各種数字は、昨シーズンもそれほど大きく増えていないという。