2003年頃から、にわかに梅酒が注目されはじめたのだ。健康にいい、アルコールが苦手な人にも口あたりがいいと若い女性を中心に人気を集め、梅酒ブームが到来。梅酒の売り上げが次第に伸び始め、かの緑茶梅酒も人気商品にのし上がった。

 中野さんは、「世の中の健康志向からこの先、梅酒の時代が来るのではないか」と考えた。

「和歌山の企業であるからには、地元ならではの素材である梅を扱った商品で地域に貢献したいという思いもありました」(中野さん)

 かくして、日本酒から梅酒へと事業の軸足を移すべく、中野さんの改革がはじまった。

20代女性でマーケ部を立ち上げ!
「野菜ジュース入り」梅酒も誕生

 大学卒業後、宝酒造に勤務していた中野さんは、家業において「市場ニーズにあった商品づくりができていない」と感じていた。そのためにまず行ったのは、社内における組織体制の一新だ。

 梅酒人気を支えるのは若い女性。ところが商品開発にあたっていたのは、中野さん曰く「50代以上のおじさんばかり(笑)。女性の好みなどわかるはずがありません」。

 そもそも社内には製造部門と営業部門しかなかったため、マーケティング部を立ち上げた。部員は、ほぼ20代女性で構成。味付け、ラベル、パッケージ、デザインなどについて「女性目線」の意見を最大限反映させるようにした。

かの三色梅酒も、かわいいイラストのラベルをあしらった「てまりシリーズ」で登場。「女子の家飲み」用として飲みきりの180mlサイズと「女子会用」の500mlサイズを展開する

 重点的に商品開発を進めたのが、売れ行きを伸ばしていた「カクテル梅酒」。従来の三色梅酒からバリエーションを増やしていった。

「それまでは食前酒として使われがちだった梅酒ですが、甘さを控えめにしたカクテル梅酒なら、食中酒として楽しめると考えました」(中野さん)

 女性社員がメインとなって続々と新たなカクテル梅酒を完成させた。とにかく、そのラインナップはすさまじい。ゆず、レモン、シークワサー、いちご、ライム&ジンジャー、山椒から、「人参・セロリ・キャベツ・ほうれん草・レタス・クレソン・パセリ・レモン」いわば「野菜ジュース」入り梅酒も!

「新商品を開発するうえで、既成概念にとわれない頭の柔軟さが大切です。可能性はどこにあるかわかりませんから、アイデアは否定しません」と中野さん。和歌山らしいものをと特産の「イセエビ」「や「クエ」で試作したこともあるという。

ブルーベリー入りの梅酒「MYLTILLE」(ミルティーユ)

 女子力はネーミングやパッケージ、コンセプトにも存分に発揮されている。

 ピューレ状にしたブルーベリー入りの梅酒の商品名は「MYLTILLE」。ボトルもパッケージも、梅酒が持つ「和」のイメージが払拭され、ワインのようだ。癒しと美容がコンセプトの「アロマ梅酒」は、ラベンダーとクランベリー入りや、ローズヒップとラズベリー入り。

 女子力全開のワクワクがつまった色とりどり、味とりどりの、おしゃれな梅酒はヒットを連発した。