「自分が売る」から「人に売らせる」へ
営業マンの仕事と営業マネジャーの仕事はまったく違います。何が違うのかというと、営業マンは「自分が売る」のが仕事なのに対し、営業マネジャーは「人に売らせる」のが仕事だからです。もちろんプレイングマネジャーの場合には、「自分が売る」ことと「人に売らせる」ことを両立させなくてはなりません。
ところが実際の営業現場には、「課長」とか「部長」の肩書きを持っているのに、やっていることは営業マンの延長線上、という人が多く見られます。私は船井総研で営業力強化を中心としたコンサルティングを、社員数万人の大企業から社員数十人の中小企業まで幅広く行っています。そうした関係上、数多くの営業マネジャーと接してきましたが、本当の意味で営業マネジャーの仕事をやっている人は、10人のうち3人いるかどうかだと思います。
例えば、いわゆる予算責任を持つ営業所長にもかかわらず、所長本人は自らの数字のために走り回り、部下のつくった売上を「集計」して報告するだけの「営業マン兼集計マン」などはその典型といえるでしょう。
こうしたタイプの営業マネジャーに共通しているのは、決まって部下の悪口を言うことです。「もっと自発的に動いてほしい」「少しは考えて動いてほしい」、ひどいケースになると「あいつはセンスがないから無理」といった具合です。部下を持つ立場の人が自分の部下を否定するのは、まさに自分自身を否定するに等しい行為です。こうした営業マネジャーを見ると、腹立たしい反面、気の毒になってしまいます。「ああ、彼は営業マネジャーとしての教育を受けてこなかったのだな」と。
営業マネジャーが部下を育てられない理由
そもそも営業というのは「属人的」な仕事です。その人でなければできない仕事なので、人に教えるのがきわめて難しいのです。例えば「どうすればモノが売れるのですか?」という新人からの質問に対して、明確な答えを出せる人が何人いるでしょうか?
ちなみに、営業活動における最大の成功要因は「お客様に好かれる」ことと「深い商品知識を身に付ける」ことです。
では、どうすれば「お客様に好かれる」のでしょうか。