03年以来、期限が延長されてきた証券優遇税制が来年で廃止の見通し。その代わりに導入される非課税口座の仕組みをいち早く解説!

 10月、政府税制調査会の専門家委員会は「(優遇税制を)延長しても(株式市場が活性化方向に)動くとは証明されていない」「軽減税率の10%から本来の20%に戻すべき」という意見で一致し、03年に導入された「証券優遇税制」が来年限りで廃止される気配が濃厚になった。

 株式市場にはネガティブな材料だが、実はこの裏には、12年1月導入予定の「日本版ISA」の存在がある。

譲渡益や配当が10年間、非課税になる日本版ISA
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 「『ISA(Individual Savings Accounts)』は、99年にイギリスで導入された個人投資家向けの税制優遇措置で、株式や株式投信の配当や譲渡益が非課税になる仕組み。日本版ISAでは、12~14年にISA用口座を開設して投資すれば、毎年100万円、最大300万円まで、株式や投信の配当、譲渡益が最長10年間、非課税になります」(野村総合研究所・金子久氏)

 ISA導入後、イギリスでは口座開設数が毎年1000万件を超えるほど、国民の資産運用が活性化したという。

 「銘柄の入れ替えができないので、個別株より投信への長期投資に向いており、株式市場へのインパクトはあまり期待できませんが、投資家の裾野は広がるのでは」(同)

 低迷が続く株式市場は、日本版ISAで活性化するか!?

(文/山田大介)