“経営の師匠”からの教え
「とことんもやしで行け、よそ見するな」

ちこり村の売場

 忙しい日々の中で、中田氏はある”経営の師匠”にも出会っていた。岐阜県可児市を発祥とするラーメンチェーン店の創業者、中川昭信氏である。

「当時の配達先に、中川さんが経営するラーメン店がありました。ほうぼうに配達させてもらい、中川さんのところに着くのが午前9時頃。ある日、社長が事務所の庭で待っていまして、『おう、中田君、おはよう。ちょっとこっちに来なさい』と声をかけてくれたのです。

 社長室へあがると、『まだご飯を食べてないだろう』と言って朝食やコーヒーまでごちそうしていただいて。それからほぼ毎日、呼び止められるようになりました。そこで、店を出す際の立地条件ですとか、ビジネスに関するいろいろなことを教えてもらいました」

――中川氏はなぜ、中田さんを呼び止めて話をしたのでしょうか。

「社長がおっしゃるには、自分が話し出すと社員はそっぽを向いたり、嫌な顔をする。君は一所懸命聞いてくれるからいい、って言っていましたね。何より聞く姿勢がいい、と褒めてくださった。それがご縁で京都の祇園にも連れて行っていただきましたし、メンマの仕入れで台湾に行く時も、2、3度、ご一緒させてもらいました。

 当時の私どもの会社と、全国チェーンを展開していた中川社長の会社では規模が全然、違いますから。私からすると目から鱗のような話ばかりで、随分と勉強させてもらいました」

――つまりは、見込まれた、ということですね。

「まあ、そういうことになりますね」

 サラダコスモ躍進の第一歩は、ラムネに見切りをつけた後、副業だったもやしに専念し、その品質と付加価値にとことんこだわった経営へと舵を切ったことにある。じつは、そのような判断をする上でも、中川氏のアドバイスが効いていた。

 ある日、いつものようにもやしを配達して回っていると、国道沿いに新しくできたおにぎり店が繁盛しているのが見えた。中田氏が何気なく「あれは商売になりますか?」と尋ねると、中川社長はにべもなくこう言ったという。