また、「VOG(ボイス・オブ・現場)」というキャッチフレーズのもと、現場の職員や入居者の声がストレートに経営層に届くように仕組みを改善しました。そして、ホーム長や地域のホームのまとめ役の「統括」への権限委譲を進めました。

 ちなみに、ワタミの時代から「食」については、力を入れ、こだわりを持っていました。最近の大手有料老人ホームでは、チルド配送による食事が多く、キッチンスタッフがホームに常駐して食事をつくるのは、大手チェーンの有料老人ホームでは珍しいと思います。キッチンスタッフは介護の研修も受けており、オープンキッチンで入居者の顔色を見て、コミュニケーションを取りながら調理しています。きちんとした食事は、認知症予防にもなります。このように良い点はそのまま残しています。

ワタミ時代に沈んだ入居率
今年度中には80%台に回復させる

――肝心な有料老人ホームの入居率ですが、ワタミ時代に入居率は70%台まで落ち込んでいました。通常、有料老人ホームが健全に経営されるには、85%程度は必要と言われます。入居率は回復しているでしょうか。

 ワタミ時代、一時期は73%まで落ち込みましたが、現在は76%まで回復しています。今年度中には80%台に回復させる予定です(目標82%)。今後の3ヵ年計画では、90%以上を目標としています。

 会社の業績も今年度は赤字ですが、来年度には単年度黒字を見込んでいます。

――「人が重要」と言われる介護業界ですが、仕事が大変な割には低賃金であり、職員の処遇や慢性的な人手不足が問題となっています。退職金制度のある介護会社もほとんどないのが実情です。SOMPOホールディングス(当時は損保ジャパン日本興亜HD)がワタミの介護を子会社化した際、「職員の処遇改善」を掲げていました。

「ワタミの介護」を買収時、「職員の処遇改善」を掲げていたが、どこまで改善できるのか

 SOMPOブランドの向上のためにも、手当て、キャリアパスの改善など長く働いてもらう仕組みについて、業界内で率先して取り組みたいと思っています。退職金制度については、現在の弊社にはありませんが、今後、検討していきます。

 介護福祉士の比率は各ホームの加算(介護報酬制度による収入)にも影響するので、増やしていきたい。現在、35%だが、近いうちに5~6割まで増やしたい。正社員の比率も現在(9月1日時点)の45%から今年度中に53%(2016年度目標)まで高めるつもりです。

 人材確保については、ワタミ時代に募集した2016年4月入社の新入社員はわずか19人でした。17年4月に入社予定の内々定者は約80人となっています。毎月採用している中途採用者は60~70人と比較的順調に推移しています。

 また、SOMPOグループとなって、通信教育や団体保険、レジャー施設の利用などの福利厚生制度の面では手厚くなりました。