もっとも各社の受け止め方には温度差がある。ある大手は「インバウンド特需ほど目に見える効果は考えにくい」と冷ややかだ。

 新税制は周知不足。業界が今夏に消費者らへ行ったアンケートでは8519人中、新税制を知っていたのはわずか11.1%だった。

骨抜き税制にため息も

 業界が15年8月に国へ要望した最終案では、全ての市販薬で購入額1万円超の部分を控除対象としていた。医療経済学が専門の川渕孝一・東京医科歯科大学大学院教授がその前提で医療費削減効果を試算すると、風邪、鼻炎、腰痛等、胃腸の4症状だけでもマイナス1151億円。減税に要する財源規模750億円を大きく上回った。

 だがふたを開けると対象金額が上がり、品目は1517品目(本稿執筆時点)。医療用医薬品から転用された82成分(同)を含む風邪薬、胃腸薬、水虫薬、貼付薬などに限定され、「削減効果は10分の1」と川渕教授は苦笑する。

 要は骨抜きである。あるメーカー幹部は、税収減に難色を示す財務省や日本医師会の「横やりが入ったのでは」とため息をつく。

 消費者側の混乱も予想され、例えばタケダの風邪薬「ベンザブロックシリーズ」の3種(鼻、のど、熱)は鼻のみ対象外。大正製薬の発毛剤「リアップ」も対象外だ。

 業界幹部は「財務省寄りのややこしい税制ではなく消費者の使い勝手の良いものへ。来年以降消費者の声を聴き、粘り強く国に要望したい」と長期戦を覚悟する。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 土本匡孝)