日銀の「総括的な検証」を受けて
強調される「リフレ派の敗北」という報道

日経新聞の記事には、ゴジラに扮した筆者らが、財務省と日銀の権威を踏みつぶす風刺漫画が描かれている(※実際に掲載されている風刺漫画とは異なります)

 日銀による金融政策の「総括的な検証」を受けて、「リフレ派の敗北」を強調する報道が見受けられる。リフレ派という“異端の理論”について実験してみたが、「失敗して路線変更を余儀なくされた」という記述が共通して見られるが、本当だろうか。

 その一つとして10月12日の日本経済新聞「「財務省を信じない」首相 「異端」影響力には陰りも」を取り上げよう。

 この記事には、「シン・ゴジラ」をパロディ化した風刺漫画が掲載されており、なかなか笑わせる。ゴジラに扮した安倍首相がリフレ派の経済学者を想像させる4匹の小さなゴジラを引き連れて、日銀や財務省を破壊しているように描かれている。ちなみに、4匹の小さなゴジラのうち、1匹は筆者のようである。なお、風刺漫画は上の引用先でみてほしい。

 大のゴジラファンの筆者としては、ゴジラに扮した筆者らが、財務省と日銀の権威を踏みつぶすのは、事実でもあり、この漫画は気に入っている。しかし、この記事は財務省・日銀の権威こそが重要であるというわけだ。

〈「景気が回復しかけると、いつも日銀が妨げるのをみてきた。財務省も日銀も信じられないからアベノミクスに至った」と首相は周囲に語る。〉

 という箇所は正しい。しかし、その他の記述は取材したのかどうかも怪しいものばかりである。

 これは、18日のニッポン放送「ザボイス そこまでいうか」での筆者と浜田宏一エール大名誉教授野との対談でも話題になった。

 実は、ラジオ番組では、今回の日銀の金融政策変更の話がメインだった。ところが、冒頭、浜田先生はその話の前にと言い、自分の発言について間違った報道が多すぎると苦言を呈した。