検査値の警告を無視し、同じ生活習慣を続けると、次はALT、AST共に異常域に入る。もしASTのほうが大きくなったら赤信号点滅。NASHの疑いが強まる。この段階では肝臓のあちこちで、炎症を修復しようと繊維形成が始まっている。肝臓の繊維が増えるとさすがの肝細胞の再生力も弱まり、あとは肝硬変へまっしぐらだ。

 アルコール性肝炎の原因は「飲み過ぎ」。たいていは本人に自覚があり、対策も断酒と明解だ。一方、NASHでは「肥満」が悪いとわかっていても、対策が「生活習慣全般の見直し」と漠然としているので結局放置されてしまう。しかし、肝硬変末期の治療は肝臓移植だ。地道に進行を抑えるしかない。

 NASH予防の原則は、脂肪肝からNASHへの進展を食い止めること。肥満や脂肪肝と診断されたら食生活を改善し、運動で体重を落とすことが重要だ。最近では十分な睡眠も大切とされている。病院では、脂肪肝に対して、肝臓保護の目的でビタミンEや大豆の成分でもあるリン脂質、糖尿病や脂質異常症の治療薬などが処方されるが、基本は生活習慣の改善だ。

 ウオツカ大国のロシアの諺に、「若い頃は酒で肝臓を痛めつけ、老いては肝臓に痛めつけられる」というのがある。「酒」を「不健康な生活習慣」に置き換えるとNASHが見えてくる。