「♯」(ハッシュタグ)で情報カテゴリーがわかる

 140文字のミニブログ、Twitter(ツイッター)ブームが日々、その姿を変えつつある。インターネット等による情報サービスを提供しているNECビッグローブ社「ツイッター利用動向」によれば、10月の月間総ツイート(つぶやき)数は約3億2900万件、4月からの半年で3倍以上に増えた。また、ネットレイティングス社のインターネット利用動向調査では、8月度の日本国内のツイッター利用人口が初めて1000万人を超えたという。日本のネット人口は約6000万人。そのうちの1000万人という比率は、一般のユーザーが利用し始めるかどうか、つまり今後広く普及するかどうかの目安となるクリティカル・マス(総利用者の16%)越えを意味している。

 販促のためにツイッターを利用する小売業も増えてきた。4時間のタイムセールで600人が限定セール品を購入した無印良品の「フォロワー1万5000人記念セール」(2月)、14万人近いユーザーがWeb上に行列をつくり、期間中“世界中で最もつぶやかれた数日間”と呼ばれたユニクロ誕生感謝祭キャンペーン「UNIQLO LUCKY LINE」(5月)、店舗情報と連動した東急ハンズの商品検索サービス「コレカモネット」(3月)などはとくに注目を集めたものだ。

 こうした動きの中で、ツイッターによるプロモーションを企業向けサービスとして展開する企業も出てきた。その一例が、地下鉄構内では欠かせない「のりかえ便利マップ」(乗り換えや地上出口に便利な乗車口を教えてくれる)を開発した株式会社ナビットだ。「ツイッターは情報を拡散するのに適したツール。しかし、ただつぶやくだけでは顧客の心にささらない。効果を挙げるためのノウハウが必要」(代表取締役社長・福井泰代氏)。同社では、日本全国に在宅主婦を中心に地域特派員3万人超を会員として抱えており、地域ごとに最新情報の収集・発信をすることが可能だ。

 同社が提供するツイッタープロモーションは、ツイッター上で特定の話題を発言するときに使われる「#」(ハッシュタグ)」を付け(スーパーであれば、「#店名」というように)、タイムセールやお買い得品、施設案内やバリアフリー情報、レシピ、ゲリラ豪雨情報などをツイッターで発信していくものだ。顧客のつぶやきに対するレスポンスも原則5分以内だ。もちろん同じハッシュタグを付ければだれでもツイートできる。そのため、スパムのような情報が流れることも考えられるが、同社のように地域特派員による情報の書き込みが担保されていれば、内容も一定のレベルを維持できるはずだ。

 同社のオリジナルコンテンツに、全国のスーパーの特売情報を毎朝11時までに配信する「毎日特売」(PC版、モバイル版)がある。新聞の折込チラシをもとに地域特派員が入力した特売情報が1日約8万~10万件アップされ、カバーしているスーパーは約160社、8220店舗に及ぶ(11月1日現在)。毎日特売のPC版ではスーパーなどのタイムセール情報を流しているが、これは「#tokubai」を付け、地域特派員が中心となってツイートしたものだ。タイムセールの書き込みも日々増加しているという。

「具体的な実績としてはまだ挙げられないが、鉄道系のある商業施設ではツイッターとユーストリームを連携させ、オープンまでのメイキングを流しながら来店促進につなげるプロモーションを計画している。商談中のものも含め、問い合わせは予想以上に多い」(同)。

 ツイッター先進国、米国ではロードサイドの立て看板や外壁などに自社のURLと同様の扱いで「#○○○(店舗名)」を明記する大型スーパーも出てきたという。流通の世界では、米国と同じような道をたどってきた日本。「#○○○」が最新の店舗情報の発信地となる日はくるのだろうか。


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