レンジローバー・イヴォーク・コンバーチブルというフルオープンのSUVが、2016年9月9日より日本で受注開始されている。報道陣に試乗が許されたのは10月中旬。英国では戦後から長い歴史を持つランドローバー社が手がけたレンジローバー・イヴォークはシャープなスタイルを特徴としていて、世界的にも人気が高い。そのオープン版ははたしてどんなクルマだろう。
レンジローバー・イヴォーク・コンバーチブルは2016年春に欧州でデビューしている。斬新なのはスタイリングコンセプトだ。SUV(スポーツ多目的車)でフルオープンなんてあまり前例がない。ランドローバーじしんが「世界初のラグジュアリーコンパクトSUVのコンバーチブルモデル」(日本法人ジャガーランドローバージャパンの広報資料)としているほどで、白状すると僕などは、ひょっとしたらキワモノ?という懸念を抱いていたのは事実である。
レンジローバー・イヴォーク・コンバーチブルは、しかしながら、予想をいい方向に裏切ってくれた。ひとことでいうと、走りがよく、そしてカッコいいのである。若々しいからむしろ歳とってから乗るのもすてきだ。欧州ではスポーツカーは55歳からの趣味と言われるほどで、イヴォーク・コンバーチブルも活き活きとした楽しみを与えてくれるという意味でスポーティなのだ。走りのよさは(たかが)2リッターの排気量の4気筒エンジンだが力がたっぷりあって、クルマの操縦性のよさをしっかり支えている。
エンジン回転数は1500rpmも回っていれば充分に力強く2000rpmで日本の法定速度に達してしまう。ゆえに燃費もよく静粛性も高い。低い回転数でこと足りてしまうとはまるでディーゼルエンジンのようだけれど、加速時にアクセルペダルを強めに踏み込めばシュンッと上の回転域まで吹け上がる。ガソリンエンジンならでの感覚がちゃんと味わえる。
クルマの動きにもっさりした感じはいっさいない。ステアリングホイールを切れば車体は反応よくすっと行きたい方向を向いてくれるのだ。サスペンションの設定は少々硬めで、乗り心地はいわゆるヨンク的なほわほわしたものではない。どちらかというとスポーティなクーペのようなかんじでしっかりとしているのだ。しかも重いルーフがないので車体の重心は低く、そのためにカーブを曲がるときの安定感はとてもよい。フルオープンの恩恵といってもいと思う。
僕がもうひとつ大いに気に入ったのはスタイリングだ。時速48キロまでなら走行時に開閉できる電動ソフトトップは、フルオープンではきれいに収まって車体のウェッジシェイプを強調。いっぽう幌を上げた状態(日本での使用はこの状態が多そうだ)でも意外といえるほどスタイリッシュである。幌を上げていると2ドアクーペのようなカッコよさすら感じる。つまりオープンとクローズ、2通りに楽しめるといってよい。僕はゴルフのカブリオレの幌のスタイルがとても好きなのだけれど、それを思い出して大いに好感を持っている。