お金持ちには「倹約家」が多いといいます。なぜなら、倹約家になることで、お金の不安がない暮らしが保証されることを知っているからです。そのために心がけるべき3つのことを、『お金持ちはなぜ、靴をピカピカに磨くのか?』(朝日新聞出版)の著者である臼井由妃(うすい・ゆき)氏に寄稿してもらった。

*  *  *

お金持ちに「倹約家」が多いのには理由があった!(※イメージ写真)

 お金持ちに共通するのは、徹底した「倹約家」であるということ。お金持ちというと華美な暮らしをしていると受け止める方が多いと思いますが、彼らのほとんどは「倹約家」で、収入よりはるかに低い支出で暮らしています。

「お金があるのだから、欲しいものは何でも手に入れたらいいのに」「お金持ちなのだから、お金遣いが派手になっても、問題ないのに」「自分がそういう立場になったら、好き勝手にお金を使うと思う」こうした考え方では、お金持ちになれません。運よく稼げる人になっても、すぐに落ちぶれるでしょう。

 お金持ちが「倹約家」になるのは、たった3つのことを心がけるだけで、お金の不安がない「心地よい暮らし」が将来にわたって保証されると、確信しているからです。果たして、どんなことを心がけているのでしょうか。

 第一に心がけていることが、「お金は『自分の働きの対価』として理解し、大切に扱う『作法』」だということ。

 お金を得るためには、時間や労力や人間関係のストレスなど、目に見えないものも費やされているという意識が、彼らには明確にあります。自分の働きの対価とは、骨身を削り我慢や忍耐の上に頂くものですから、お金の使い方にシビアになるのは当然です。それは、稼いだお金はもちろん相続財産や、耐久消費財にも及びます。

 こうした考えがないと、収入が増えるにつれ所有欲や独占欲に支配され、誘惑に負けて浪費を重ねたり、お金の匂いをかぎつけて寄ってくる人たちが持ち込むもうけ話に乗ったりと、お金は、瞬く間に失われるでしょう。

 ですからお金持ちは、稼ぐほどに、賢くお金を使う。倹約を心がけるようになるのです。

 次に心がけるべきなのが「ものの多さと幸福感は比例しないという『発想』」です。

 人は欲しい気持ちが先行していると、「どうしても必要だから」と、もっともらしい理由をつけて購入の正当性を主張します。それが不要だったことに気づいても、「いずれ使うから」「子供に残せばいい」などといい訳をして、逃げます。