評点(5点満点)

本書の要点

・炎上事件に伴って直接何かを書き込む現役の参加者はインターネットユーザの0.5%程度である。
・炎上によって攻撃された側は、最終的にブログ閉鎖やアカウント削除をして、議論の場から完全撤退するしかない。
・炎上を恐れて社会全体の情報発信が萎縮してしまうことこそが、炎上の社会的コストである。
・SNSとしての情報発信力を保ったまま、個人の情報発信力の濫用を抑える方法の1つとして、受信と発信の分離がある。その具体例として「サロン型SNS」を提唱する。

要約本文

◆ソーシャルメディアと炎上
◇そもそも炎上とはなんなのか

 昨今におけるインターネットの急速な普及と多様なネットサービスの登場は、社会に大きな変革をもたらした。今やソーシャルメディアを利用すれば、不特定多数の相手に対して、個人が情報を発信することも容易である。コミュニケーションツールの利用率は、電子メールが約70%、ソーシャルメディアが約50%、無料通話アプリやメッセージアプリが約30%と伸びてきている。

 しかしながら、コミュニケーションが活発になる一方で、1つの対象に誹謗中傷が殺到する、いわゆる「ネット炎上」が多発するようになってきている。本書では、炎上の定義を「ある人物や企業が発信した内容や行った行為について、ソーシャルメディアに批判的なコメントが殺到する現象」とする。

◇発生件数推移と傾向

 2006年から2014年の炎上の発生件数をみてみると、2010年までは100件以下であったが、2011年には333件と急速に増えている。2013年の449件をピークとして、2014年には415件と減少しているが、これは炎上が社会的に注目されるようになり、一般人、著名人、法人関係がそれぞれ対策をとったり、より気をつけたりといった対応をとるようになったためではないかと考えられる。ただし、減少しているとはいえ下げ幅はわずかであり、今後増加に転じる可能性は十分にある。

 また、炎上対象者を一般人、著名人、法人関係別の割合で見ると、法人関係が最も大きな割合であり、概ね50%程度を占めている。

 さらに、Twitter、Facebook、その他(mixi、YouTube、価格.com、2ちゃんねる、その他のミニブログ)の割合では、2008年以降Twitterの割合が急速に伸び続け、2011年からは40%強で横ばいとなっている。FacebookよりもTwitterのほうが拡散力は高く、よりオープンなため炎上しやすい。したがって、炎上対策を考える際はTwitterを最も警戒すべきといえる。