◆炎上の分類と社会的コスト
◇炎上を分類する

 本書では、(1)誰が、(2)何をしたか、(3)どういった対応をとったか、という3つの視点から炎上事件を分類する。

(1)については、「A:著名人」、「B:法人等」、「C:一般人」の3つに分ける。

 また、(2)については、「I:反社会的行為や規則・規範に反した行為(の告白・予告)」、「II:何かを批判する、あるいは暴言を吐く、(政治・宗教・ネット等に対して)デリカシーのない発言をする。特定の層を不快にさせるような発言・行為をする」、「III:自作自演、ステルスマーケティング、捏造の露呈」、「IV:ファンを刺激(恋愛スキャンダル・特権の利用)」、「V:他者と誤解される」の5つに分けて考えた。

 くわえて、(3)については「ア:挑発、反論、主張をとおす」、「イ:コメント削除」、「ウ:無視」、「エ:謝罪、発言自体の削除、発言撤回の発表」の4つに分けている。

◇炎上のパターン

 (2)に注目すると、I~Vの事例に共通しているのは、インターネットユーザの間にある規範に反した行為を行っているということである。批判、ステルスマーケティング、ファンへの刺激など、法律違反といえないような事象も、この規範に反していれば炎上対象となってしまう。

 インターネットユーザへの批判、保守党への批判は特に炎上しやすい。また、食べ物・宗教・社会保障・格差・災害(不謹慎ネタ)・政治(特に外交)・戦争(安全保障)なども炎上しやすい話題といえる。

◇炎上の社会的コスト

 炎上で行われるのは議論や生産的な対話ではなく、一方的な攻撃である。攻撃された側に有効な対処方法はなく、ただ傷つき、最終的にブログ閉鎖やアカウント削除して議論の場から完全撤退するしかない。そうなると、人々は炎上を恐れて発言を控えるようになり、社会全体として情報発信が減少し、あるいは偏っていく。このように、情報発信が萎縮してしまうことが、炎上の社会的コストなのである。

◆炎上は誰が起こすのか
◇炎上参加者のプロフィール

 炎上に実際に書き込んでいる人の属性について、約2万人に対するアンケート調査のデータを用いて実証分析し、炎上の実態を掴んだ。

 第1に、炎上を知っている人はインターネットユーザの90%以上いるものの、これまで炎上に参加したことのある人はわずか約1.1%しかいない。このことから、ごく少数の人が、複数回にわたり炎上に参加していることが明らかになった。