江東区は、宅地に占める工業用地の割合が約3割と、23区で一番多い。近年、これらの工場や倉庫が、次々とマンションに生まれ変わっている。

 価格が手頃なこともあり、特に若い世代に人気が高い。周囲に子育て世代が多く住む工場や倉庫の跡地は、ショッピングセンターにとっても好適立地だ。だから江東区では、大型店の出店ラッシュが続いている。この事態に、区内の約50の商店街は、どう対応しているのだろうか。

江東区では、大型店の
出店ラッシュが止まらない!

 2000年~2010年の10年間に、江東区では小売店舗面積が1万5000㎡以上に及ぶメガストアが、7店もオープンしている。うち5店は、大規模なスーパーを中心としたもの、残る2店も食品スーパーを含む複合ショッピングセンターである。これら7店の店舗面積の合計は、何と21万7000㎡。1999年の江東区の全ての小売店の売場面積の合計が25万7000㎡だったことと比べると、大型店の出店ラッシュのすさまじさがわかるだろう。

 直近の商業統計は07年。この時点では、上記新設メガストアのうち2店は未開店だった。それでも、小売店売場面積全体に対する大型店の売り場面積の割合は59%で2位。ちなみにベスト5は、豊島区、江東区、新宿区、中央区、渋谷区の順で、江東区以外は全て百貨店を中心に大型店が集中する都心、副都心地区である。

江東区の商店街――メガストアのすさまじい脅威に屈しない「棲み分け作戦」の舞台裏

 同じ07年の商業統計を見ると、大型店の売場面積は5位で総合スーパーの数は1位、02年~07年の大型店数の増加率は1位となっている。大型店販売額、大型店売場面積の増加率は共に4位など、こと大型店に関しては景気のいいデータが目白押しである。

 それに対して、他の店舗はどうか。ワンストップショッピングで日常の買物が済んでしまう大型店が多いから、そもそも江東区には店舗の集積密度が低い。1k㎡あたりの店舗数は23区の最下位だ。