いきなりフルに働こうとすると、ムリをして頑張りすぎてしまうため、結局、仕事が長続きしない人たちをこれまで何人も見てきた。最初は、週に3~4日でも、短時間でもいいから、段階を踏んで仕事に慣れていく環境は大切だ。

 こうした引きこもる人たちの気持ちや心身のメカニズムに寄り添った理解のある職場が増えていくと、彼らの社会復帰につながりやすくなるのではないか。また、たとえ公的な支援がなくても、民間企業の経営努力の中で、彼らが本来持っている良さを生かして戦力にしていくことができることを物語っている。

なぜ引きこもりの人たちは
農作業や遺跡発掘作業だと長続きするのか

 番組では、年金生活を続ける70代の両親のもとで、20年近く引きこもり続けている39歳の男性も登場。長年、ほとんど会話のなかった親子関係の中で、若いディレクターの「しつこい取材」をきっかけに、男性は母親が趣味で続けてきた畑仕事に関心を持っていることがわかった。そして、彼は「農協の新規就業者の支援制度に乗っかって、生計を立てていけるのなら…」との期待感から、母親に連れ出され、カメラクルーとともに畑へと出かけていく。

 映像では、最初は母親の農作業を見ていただけの彼が、少しずつ手伝う姿が映し出される。

「身体的にも精神的にもちょっときついですね。複雑な作業。脳が鈍っているのか、頭がゴチャゴチャになってきますね…」

 そんな彼のコメントからは、太陽の下で久しぶりに「いい汗」をかいて、心身が嬉しさで驚いている様子が感じられた。

 もちろん、いきなり身体を動かした反動で、しばらくグッタリしてしまうのかもしれない。それでも、何はともあれ、彼は外に出るきっかけをつかんだ。