出資から宣伝、版権まで
一気通貫で管理するモデルを確立

──故・岡本喜八監督との対談で、庵野監督は「お金を出している人たちが一番強い」とおっしゃっていますが、今もそのお考えなのでしょうか。

 ええ、強いですね。お金を出してリスクを取る人が強い。著作権を含めて総取りできますから。喜八さんも、途中で自費出資をやって映画を製作しています。『大誘拐 RAINBOW KIDS』では家を担保にまでしていたそうです。

──カラーという会社でもその発想が根付いています。自らが一気通貫型で全て管理するからこそもうかるビジネスモデルを築かれました。

 単純にそれが一番作品にとっていいのですよ。製作だけでなく、宣伝や版権管理まで行うことで、ファンサービスまで自由にできる。ファンとの関係まできちんとコントロールできることが大事なのです。

──エヴァでは、公開前に情報を一切出さないことでヒットにつなげるという宣伝手法も取られてきました。

Photo by A.S.

 原作シリーズがあり、話が分かっている作品なら事前に宣伝をしてもいいと思います。ですが、そうでないのなら、どんな話になるのかは作品を見るまで分かりませんよね。それなら、そこを楽しんでもらった方がいいと思っています。

 ファンであれば、不安だったとしても必ず公開時に作品を見に来ますし、そのとき、「わー!」と驚いたのなら、それを他の人に伝えたくなりますよね。特に、今の時代はSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)がここまで発達している。私ならその口コミによる拡散を狙いますね。

──逆に言えば、製作者がコントロールできないことも多いというわけですね。庵野監督が総監督を務めた『シン・ゴジラ』は東宝単独出資作品として、興行収入79.9億円(11月14日時点)の大ヒットになりました。

 ええ。まあ、リクープできたみたいでよかったなぁと。ただ、ゴジラについては、私は雇われ監督の身です。

──雇われという感覚なのですか。

 そうですね。サラリーマン並のギャラをいただいて終わりです。東宝の、人さまのコンテンツなので何も言えません。ただ正直、宣伝をこちらでもう少しコントロールさせてもらえていれば、という思いはありました。