片道30分の農業法人で、
“脱輪王”の異名を

 私の場合、新規就農時の研修は、自宅から車で片道30分ほどの農業法人で、稲作と漬物加工を学びました。

 慣行栽培ということで、無農薬栽培技術は身につけられませんでしたが、漬物用の野菜を中心に、栽培技術の基本(苗の植え方や育て方、きれいな収穫の仕方)を教われたのは大きかったですし、なにより業務用の漬物の漬け方、どのような道具が必要かを学べたのは本当に助かりました。

 同時に、車を路肩に落とす“脱輪王”の異名をつけられたり、バランスを崩して稲の苗を落として何枚もダメにしたり、数々の失敗をしました。

何度「落第!」と言われたかわかりませんが、厳しいところで鍛えられたからこそ、今があります。

 将来、自分がやりたいスタイルに近いところで研修するにこしたことはありませんが、選り好みばかりしていると、研修先を見つけること自体が難しくなります。
 大規模農業法人であっても、農業を肌で感じられれば大丈夫です。
 そして、研修をしたいと思ったところの商品はぜひ購入してください。

 研修を受け入れる側も、事前に買ってもらえればうれしいですし、商品は「顔」なので、商品と相性が合えば、研修先としてもいいと思います。

研修中にこれだけは学んでおこう

 1年1作の作物がたくさんある農業では、1年やってもそれぞれ1回しか経験していないことになります。
 しかもその年、その年で気候が違うと、打つべき対策も変わってきます。
 ですから、研修中に技術をすべて習得するのは難しいのです。

 そして、多少使えるようになったかと思ったら独立。これでは受け入れる側も大変です。
 最初に独立ありきならば、こちらから研修期間を決めて、研修先に伝えておけばお互いの心積もりができるので、その後もスムーズです。

私の場合は、1年と決めていました。

 もちろん、農業技術を習得したとはとても言えませんが、それでも基礎だけは学べました。