「睡眠の『質』を上げれば睡眠『時間』は必要最低限に収められ、さらにこれまで以上に日中を快適に過ごせるようになる」と語る『朝5時起きが習慣になる「5時間快眠法」』の著者・坪田聡氏。
では、どう睡眠の質を上げていくのか。その具体的な策をお教えいただく。今回は、「寝つき」が良くなる方法について教えてもらった。(初出:2016年12月9日)
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すぐに寝落ちできると、睡眠の質が上がる
日本睡眠学会所属医師、医学博士。雨晴クリニック(富山県)副院長
睡眠専門医として、20年以上現場に立ち続ける。日本睡眠学会の他、日本スポーツ精神医学会、日本医師会、日本コーチ協会にも所属。ヘルスケア・コーチング研究会代表世話人も務める。 1963年生まれ。石川県在住。日本を睡眠先進国にし、睡眠の質を向上させるための指導・普及に努める。2006年に生涯学習開発財団認定コーチの資格を取得し、「睡眠コーチング」を創始。2007年から生活総合情報サイト「All About」の睡眠ガイドとして、インターネット上で睡眠に関する情報を発信中。『脳も体も冴えわたる 1分仮眠法』(すばる舎)、『快眠★目覚めスッキリの習慣』(KADOKAWA)、『能力が5倍アップする 睡眠法』(宝島社)、『専門医が教える毎日ぐっすり眠れる5つの習慣』(三笠書房)など著書多数
睡眠の質でまず直していきたいのは、「寝つき」の悪さである。
拙著『朝5時起きが習慣になる「5時間快眠法」』では、即寝の技術というものを紹介している。布団に入って、すぐに寝落ちするための技術だ。
これを実践することで、昼間の「活動的な脳と体」から、深く眠るための「リラックスした脳と体」へとスムーズに転換できるようになる。いつまでも寝つけないということは、もうなくなる。
「即寝」のメリットは、睡眠に費やすムダな時間を削ることだけではない。「ふとんに入るとすぐに眠れる」という癖をつけることで体が眠ることに慣れ、ノンレム睡眠への導入時間が短くなるのだ。この導入を早くすると脳と体が急速に回復する。
※ノンレム睡眠については、こちらの記事をご参照ください
ふとんに入っても、いつまでもダラダラと寝つけない……。
これは、睡眠にさける時間が少ない現代人にとっては、大きな問題である。
実はこの悩み、多くの場合、「睡眠空間」を整えられていないことに原因がある。ふとんが「眠る場所」になっていないのだ。ふとんの上でゴロゴロしながらテレビを観たり、スマートフォンをいじったりすることが習慣になっている。
すると脳は、ふとんを「眠る場所」ではなく、リビングのソファーのような「ダラダラ過ごす場所」として認識してしまう。
「パブロフの犬」という言葉をご存じだろうか。
「エサをやるときにベルを鳴らす」という行動を続けると、犬はいつの間にか、ベルの音を聞くだけで「エサの時間だ」と思い、よだれを垂たらすようになる。
これは「条件反射」という現象で、人間にも同じことが起きる。梅干しを見ると、唾液が出てくるのも、条件反射のひとつだ。