「人間関係が下手な人」とは、「人とぶつかってしまう人」ではなく、「人とぶつかった後に、和解の余地を残せない人」だ

拙著、『知性を磨く』(光文社新書)では、21世紀には、「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」という7つのレベルの知性を垂直統合した人材が、「21世紀の変革リーダー」として活躍することを述べた。
この第14回の講義では、「人間力」に焦点を当て、拙著、『人間を磨く-人間関係が好転する「こころの技法」』(光文社新書)において述べたテーマを取り上げよう。

 今回のテーマは、「世界で最も実践的な『愛情』の定義とは何か」。このテーマについて語ろう。

 我々の人生においては、必ず、他人との不和や不信、反目や反発、対立や衝突がある。

 例えば、友人との喧嘩、恋人との破局、親戚との反目、家族の離別、同僚との不和、上司への不信、部下の反発、隣人との口論など、人間同士の心が離れるときは、ある。それは、どれほど避けようとしても、生じてしまう。

 そうであるならば、我々の人生において大切なことは、他人との間で不和や不信、反目や反発、対立や衝突を決して生じないようにすることではない。それは、避けられない。

本当に大切なことは、生じてしまった不和や不信、反目や反発、対立や衝突の状況から、ときに自らの非を認め、相手に心を開き、自ら謝り、相手を許し、ふたたび「和解」する心の力を持つことであろう。

 しかし、現実の人生においては、人間同士、心が離れた後、すぐに「和解」できるとはかぎらない。人生においては、その時期に、どうしても好きになれない人もいる。どうしても心を開けない人もいる。そのため、心がぶつかり、離れ、そのまま別れてしまう人がいる。

 では、そのとき、どうするか?