遅刻する人はたいてい決まっている。しかも毎度もっともらしい理由がある。その理由は嘘ではなく、運が悪いとしか言いようのない。なぜこんなに運が悪いことが頻繁に起きてしまうのかと思える。そういう人が思い浮かぶはずだ。その人は美人だろうか。いや、ほとんど美人とは言い難い。

 そもそも時間に遅れて来た人の表情は、たいていひどいものである。必死でかけつけた時の顔はたいてい乱れている。駅などで走っている人の顔を見るといい。それが確認できる。また、遅れてきても平然としている人は、もともとその平然とした様子がひどい。平然としていても化粧が乱れているし。どうやら遅刻は「美人のもと」を減らしていくようだ。たまに時間に間に合って待つことになれば、それはそれでひどい表情で待つ。待つのが嫌いだ。

 美人はほとんど遅刻しない。待つことが苦痛ではないため、たいてい余裕をみて行動する。待つ時間の使い方を知っている。途中で事故にあっても、ある程度は計算してあるので、いつもと同じ美しい表情で時間に間に合うものだ。おかげで事故を事故と感じないのだ。「あー、そういえば、地下鉄で事故があったみたいね」とつぶやくだけだ。一方、常習犯は「また地下鉄が事故で」と鬼の形相で語るのだ。鬼の形相は確実に「美人のもと」を減らすのに。

 美人は行動が早い。スタートが違う。つまり早起きが得意だ。寝坊などほとんどしない。遅刻で「美人のもと」を減らしている人は、とにかく朝が遅い。「朝に弱い」ということを自慢したりする。

 そして頻繁にやってしまうのが「二度寝」である。せっかく起きたのにもう一度寝て、また起きる。その時は厳しい時間になっている。

 つまり、二度寝は「美人のもと」にとても悪い。これを覚えておくことだ。「もう少し」と思ってもう一度寝るのをやめるべきである。もう一度寝ても眠さは変わらない。仮に予定より早く起きてしまっても、それはそれで気分がいいこととして、余裕ある朝の行動をしてみるべきだ。散歩したり、じっくり朝食を楽しんだり、新聞をじっくり読んだり、それはそれでずいぶん幸せな気持ちになれる。美人はその楽しみを知っているのだ。