この「美人のもと」も連載100回目。約9年にわたり書き続けてきた。そして、この第100回をもって終了としたい。

 1回につき、2つの話を書いてきたので、198の話を書いたことになる。同じような話がいくつも出てきたような気もするが、「美人のもと」が増えていく瞬間、減っていく瞬間が実にたくさんあるのだと改めて感じる。

 最終回にあたり、まとめの話を書いていく。

 しばらく会っていない知人と再会する。長らく見かけなかった有名人をテレビで見る。街を歩いていたら、ずっと昔に仲よくしていた人を見かける…。人間は変わらないはずだが、見かけに変化が起きている。「変わらないなぁ」という言葉を頻繁に聞くが実際に変化しない人間はいないのだ。何かが変わっている。

 それはヒトの老化の話ではなく、その人が、よりその人になっていく変化である。人間が見かけに出ていくのだ。

 あまり目立たなかった人がすごく美しくなっていること、かわいいと有名だった人が残念なことになっていること、時間は変化をつくる。

 誰でも美人になれる。「美人のもと」を増やす瞬間をたくさん持っていれば、美人になれるはずである。

 連載を通じて、美人の行動の特徴をみてきた。美人の行動には法則のようなものがあるからだ。一方で、美人ではなくなっていく法則のようなものもある。

「美人のもと」が増えていく時、それは美しい表情をしている瞬間である。その瞬間を増やしていけば、その美しさが定着していくのだと考える。美しい瞬間とは何か。それは幸せな時間である。幸せを感じている表情こそ「美人のもと」の正体である。

 それは単に笑っているだけではない。やりがいを感じて歯を食いしばっている瞬間だっていい。感動して涙を流している瞬間でもいいのだ。