トヨタは11月17日、電気自動車(EV)の開発を担う社内ベンチャーを12月から立ち上げることを発表した。
この新ベンチャーは豊田章男社長直轄の「EV事業企画室」であり、メンバーはトヨタ本体とデンソー、アイシン精機、豊田自動織機のトヨタグループから抜擢された4名からなる(詳細は後述参照)。トヨタはグループ中核部品企業を巻き込んでEV商品投入を急ぐことになる。
さらに、グローバル競争力の強化のため、グループ力強化(つまり、富士重工、マツダ、スズキまで加わる緩やかな提携拡大とグループ主力部品企業との連携強化)を推し進めている。
日産のカルソニック株売却から
みえてくること
一方、日産自動車は11月22日、連結子会社で日産グループサプライヤーの最大手であるカルソニックカンセイ(CK)の41%の保有株すべてを米国投資ファンドのコールバーグ・クラビア・ロバーツ(KKR)に売却したと発表した。
これは、先に三菱自動車を傘下に収める一方、従来のグループ主力部品企業の売却とグローバル競争力強化にかかる開発投資の資金確保を急いだためだ。そして日産・ルノー連合はグローバル拡大戦略の一環として、部品調達では三菱自動車も加えた共同購買を拡大することで、「脱・系列」を強めている。
いずれにしてもエコカーや自動運転車あるいはコネクテッドカー(つながるクルマ;ICT端末として緊急通報や盗難車両追跡システムなどの機能を有する自動車)といった環境・安全対応に加え、「つながるクルマ」の開発は従来のクルマの部品が約3万点もあると言われる中で、単体部品からシステム化に大きく変貌していく。必然的にIT(情報技術)やAI(人工知能)関連企業も連携してくる。
そこでは、従来の自動車メーカーが「主」、部品メーカーが「従」という関係が、今後は部品メーカーが「主」、自動車メーカーが「従」という逆の関係もありうるのだ。「この部品がなければ競争力のあるモビリティとして生き残れない」というサプライヤー戦略のこれからの方向にも結びついている。