西村屋本館は武家造りの荘厳さを感じさせる門構え

 数寄屋造りの名匠と言われた建築家、平田雅哉設計の平田館の中の部屋9室をはじめ、露天風呂つき特別室の「観月」および「蓬莱」、部屋の中に手水が設置してある「御幸」と個性あるしつらえが用意されている。いっぽう、手軽な和室一間という部屋も。

 加えて冬の美食も、わざわざ足を運ぶ価値になっている。まずなによりもカニ。津居山港や柴山港をはじめとする地元・但馬で水揚げされた松葉カニを活の状態で仕入れ、さまざまな調理法で楽しませてくれるのだ。

 カニ刺し、茹でカニ、カニ味噌をはじめ、焼きカニ、カニすき、カニ雑炊。加えて但馬の新鮮な野菜からとった出汁に、すりつぶし裏ごしした活松葉かにの身を加え、白味噌で味を調えた松葉カニのすり流しなどもここでしか味わえない名物だ。

松葉カニのすりながし

 牛肉好きには但馬牛。地元で生育した但馬牛を堪能できる。専門店が熟成庫で2カ月間熟成したものもあるという。牛肉文化では関東に対して一日の長がある関西ならではの、美味なる牛肉を味わえる。

 浴衣が正装の城崎温泉街は、その特徴に現代的なツイストを加えている。用意されるのはユナイテッドアローズとコラボしたモダンな浴衣(招月庭の洋室限定)。

 そのまま温泉街に位置する舞台芸術を中心としたアーティスト・イン・レジデンスの拠点「城崎国際アートセンター」をのぞくのも楽しみというひとも少なくない。コンテンポラリーアートの鑑賞やアーティストとの交流が堪能できる。過去と現在がうまく同居している魅力ある温泉に足を運んではどうだろう。

「駅は玄関、道は廊下、外湯は共同浴場で旅館は客室」という