また、銀行以外の上場企業に対しても、株主としては自己資本をスリムにしてROE(自己資本利益率)を上げてほしいという利害を持つが、傘下の市中銀行にとっては、融資先の企業が自社株買いなどで自己資本を小さくするのは与信リスク上好ましいことではない。

 これら複数の観点から、日銀が日本企業の大株主になることは好ましいとは言えない。

株価形成を歪め
自然な株価が分からない

 日銀のETF買いについては、株価形成を歪めることの弊害も無視できない。

 先述のように、日銀のETF買いが入ることによって、株価が下がりにくくなっていることは大方の市場関係者が感じているところだ。

 日銀の買いによって株価が高止まりすることは、一応は消費や投資を喚起する資産効果につながると考えることができるが、このことによって、自然な株価形成とは異なる株価が形成されていることは、株式市場の関係者にとって不気味だ。

 端的に言って、日銀の買いが止んだ後に形成される自然な株価がいくらなのかが分からない。

 また、株価形成全般に対する影響の他に、日銀が買うETFの種類、さらに個々の銘柄の流動性の差などに基づく日銀買いの影響の差などがあって、個別銘柄の株価形成にも歪みをもたらしている。

 リスクとリターンの計算に基づいて参加するのではない市場参加者は、他の市場参加者にとっての「カモ」になり得るのではあるが、株価形成を攪乱する要因でもある。

 日銀が株式市場に介入せずにデフレ脱却とマイルドなインフレの目標が達成できるなら、その方が遙かにいい。