国民はGPIFに1人当たり幾ら
運用してもらっているか
日本に数多の年金基金や運用機関があるにもかかわらず、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)ばかりが注目されて気の毒だが、金額が大きいので例に使わせてもらう。
GPIFは昨年度第2四半期末(9月末)時点で135兆円の資産を運用している。日本の総人口を1億2700万人とすると、1人当たり106万円と少々のお金をGPIFに運用してもらっていることになる。
ちなみに、マクロ経済や予算などの数字で「1兆円」という数字が出てきたら、ちょっと不正確だが1億2500万人で割って、「国民1人当たり8000円」と計算すればいい。4人家族なら、3万2000円だ。
このパターンで考えると、厚労省的標準家庭(夫婦+子ども2人)の場合は、世帯として400万円以上預けていると考えるのがいいかもしれない。
さて、世代により、支払った年金保険料により、実質的にGPIFの運用成果の影響を受ける度合いには大きな個人差がある。公的年金に加入していない国民も税金を通じて国民年金の一部を負担しているし、年金には各種の税制上のメリットがあるから、納税者は年金加入者のメリット分を分担して負担しているともいえる。
ただし、所得の高いサラリーマンは、厚生年金を通じて、平均的な国民よりもずっと大きな利害を公的年金の運用に関して抱えていることになる。読者がサラリーマンなら、GPIFには、1人当たり106万円よりももっとずっと大きなお金を託していると考えていい。
GPIFの運用の好不調は、現在の年金受給者に直ちに反映するわけではない。しかし、2月15日の国会答弁で安倍首相が「想定の利益が出ないなら当然支払いに影響する。給付に耐える状況にない場合は、給付で調整するしかない」と述べたように、GPIFの運用の成否は、年金の条件に影響してくる。
GPIFの「基本ポートフォリオ」によると、135兆円の25%が「国内株式」で運用されることになっている。単純に計算すると、33兆7500億円だ。再び日本の総人口で割り算すると、1人26万5700円だ。株価が約3.7%上下すると、1人当たり1万円儲かったり、損をしたりすることになる。