よくある光景~かくもネットでこける人
「福ちゃんはお誕生日会に呼ばないの?」
「あの子、嫌い。だっていつも他の子の悪口ばっかり。私がいないと私の悪口ばっかりって、×ちゃんも言ってた」
「あらそう、それなら仕方ないわねえ」
「去年も応募していたC大学手帳研究会、今年も応募していて、良い企画書じゃない。これなら、今年は助成金も出せるでしょ」
「いやー、あそこはやめておきましょう。去年、落選したとき、代表の鹿家福吉がブログでうちの悪口書きまくったんですよ。『玄界灘うまか財団の学生団体応援企画に応募するも落選。ここの担当者はうちの素晴らしさをわかっていない』って。他にもブログ読む限りでは危なっかしいです」
「なんだ。じゃ、候補から外しておこう」
「内定者が1人辞退したから、最終選考不合格者から繰り上げで1人内定を出さないと。次点だった鹿家でいいんじゃないか」
「鹿家はやめましょう。最終選考落ちの直後にうちの悪口、ネットで書きまくっていますから」
「なんだ。じゃ、他の学生にしよう」
「今度の特集でちょっと目新しいヤツに書かそう。鹿家なんかどうだ?中小企業出身ながら面白いの書くじゃないか」
「鹿家?ダメダメ。去年も似たような特集やったとき、『あの特集は最悪。目新しい論客がいない。俺に声かけないなんて編集者は勉強不足もいいところ』なんて自分のブログに書いちゃう人ですよ」
「なんだ。じゃ、他に話を回そう」
「今度の市長選候補、誰にする?ジャーナリストの鹿家福吉はどうだ?」
「ダメですよ。市長選に出たいのが見え見えなくせに、ブログでは大衆迎合的な悪口だけ。そのくせ、うちにも×党にも関係者にはごますり。誰も相手にしていません」
「なんだ、じゃあやめよう」
こうして、鹿家福吉は気付かないうちに、好きな子のお誕生日会にも呼ばれず、欲しかった企業財団助成金ももらえず、志望企業の補充内定ももらえず、憧れていた雑誌の論客になれず、悲願だった市長選候補にもなれず、年老いていきましたとさ。
めでたし、めでたし?
別の人がめでたくなって、本人は気づいていないから「めでたし」でしょ、そりゃ。
※ここまでの話はフィクションです