中国の製造業における赤字企業の比率(2025年12月)

中国の迷走する経済政策への懸念は高まる一方だ。経済停滞の根幹にある内需の弱さへの対策は及び腰で、不動産不況には底打ちの気配はなく、家計のマインドも冷めたままだ。代わりに当局の景気対策は次世代産業の支援・育成に重点が置かれ、ハイテク関連の輸出と生産を伸ばすことで、どうにか昨年は5%成長を達成した形だ。
次世代産業の育成は長期的な国家戦略として重要ではあるが、短期的な景気刺激効果は限定的だ。むしろ需要が停滞する下での供給力強化は、デフレ圧力を増幅させている。中国語で、過剰な内部競争で全員が消耗する状況を意味する「内巻」問題は深刻だ。
2023年以降の中国製造業における輸出と生産の高い伸びの原動力を実証分析すると、輸出品の価格競争力の寄与が最も大きく、労働コスト削減の寄与が続く。
ただ、こうした低価格によるハイテク関連の押し込み輸出戦略には、持続可能性において疑問符が付く。欧州を中心に反ダンピング措置が今後増えるほか、中国の製造業自身の利益率の悪化が著しいためだ。
中国の製造業における赤字企業の割合は、19年末の21%から25年末には31%にまで拡大している。赤字が深刻なのは繊維などの伝統的産業に多いが、次世代産業奨励策の恩恵を受けている自動車、電機、IT部品といった高付加価値産業でも利益は悪化しており、在庫の積み上がりも深刻だ。
中国製造業企業の売上高利益率の21年初からの推移を見ると、国有企業(8%→6%)も民間企業(6%→4%)も右肩下がりで、低下基調に歯止めがかからない。コスト削減は製造業の賃金の下押しを通じて内需停滞に拍車を掛けている。
不動産市場の後処理に加え、収益悪化に苦しむ製造業の支援も強いられる銀行は体力消耗が著しい。22年初に2%あった銀行全体の純利息マージン(利ざや)は低下傾向が続き、最近は1.5%を割り込んでいる。銀行がリスクマネーを供給できなくなれば、成長停滞は長期化する。
不動産バブルの処理に時間をかける一方、製造業のコスト削減が賃金と内需の停滞とデフレを招き、銀行の体力の消耗も続く。中国経済の“日本化”が止まらない。
(オックスフォード・エコノミクス 在日代表 長井滋人)







