前回は、岐阜のお見合いオバサンに話を聞き、恋愛に偏重しすぎる現在の結婚観について課題点を指摘した。そのなかで、収入より「イケメンかどうか」ということを気にする女性が多いという話が出てきた。

 確かに、それは1つのトレンドなのだと思う。働く女性が増え、自身で収入基盤を確立しているからこそ、男性には「収入以外の付加価値」を求めているのだろう。

 ただ、現実問題として収入は大切だ。結婚相手の条件に「経済力」を挙げている女性も、まだ多い。お見合いオバサンの時代から比べれば減ってきたのかもしれないが、「まったく経済力のないイケメン」を養ってくれる女性なんて、実際にはほとんどいないだろう。「正社員で、そこそこの収入があり、浪費家ではないイケメン」がいれば、それに越したことはない。

 お見合い結婚と同じく、失われつつある結婚像の1つに「専業主婦」がある。しかし、専業主婦になることを望む女性は現在でも多く、近年では増加傾向にあるとも言われている。

 不況が続き、「一億総中流」という幻想が崩壊した現代において、専業主婦になりたい女性が増えているのだとしたら、現在の結婚像との間に大きなミスマッチを起こしてしまっている可能性がある。失われた結婚像を前にして現実とのギャップに悩んでいる人々。そのような状態を本連載では「ロス婚」と呼んでいる。

 もちろん筆者は、専業主婦を否定する立場の人間では決してない。今回は、専業主婦になりたい人がいるにもかかわらず、なることが難しい現在の状況について、採り上げてみたい。

可処分所得で女性が男性を逆転?
「婚活意欲」を萎えさせる衝撃のデータ

 男性には厳しい時代だ。

 総務省統計局の発表によると、2009年における若者勤労単身世帯(30歳未満)の可処分所得平均は、女性が男性を上回る結果となった。時系列で比較できる1969年以来、初めてのことだという。