岩倉具視の完璧な揚げ足取り
この時、山内容堂は「幼沖(ようちゅう)なる天子~」という表現をしたとされる。
岩倉具視は、ここを捕えた。
「幼沖なる天子とは何事か!」と反攻に出た。
完璧な揚げ足取りである。
揚げ足取りであっても何でも、反論、反攻しなければ、天皇暗殺の噂のこともあって自らの立場は危険なことになる。
更に、まだ何も“閣議決定”をしていない段階にも拘らず、「徳川慶喜が辞官納地(じかんのうち)を行って誠意をみせることが先決である」という、論理にもならない主張を繰り返した。
これまで大政を委任されてきた徳川家に対して辞官納地というかたちを求めるならば、山内容堂が主張する通り、徳川慶喜を会議に参加させるのが筋である。
呼べばいいのである。
核心を衝いた容堂の主張に、松平春嶽、浅野茂勲、徳川慶勝が同調し、山内容堂は、終始「徳川内府を~」と主張し、この会議は休憩に入った。