福澤諭吉が新聞記者を断罪
現実に、薩長政権は、たかだか数十年を経て国家を滅ぼすという大罪を犯してしまった。
福澤諭吉は、
「新聞記者は政府の飼い犬に似たり」
と断罪したが(『明治十年 丁丑(ていちゅう)公論』)、確かにこの国のメディアは御一新以降、常に社会をミスリードしてきたといっても過言ではない。
日露講和条約に反対する日比谷焼き打ち事件以降、大東亜戦争に突入するまでにメディアが如何に戦争を煽(あお)ったか、このことも永い時間軸の上に一度晒して振り返る必要がある。
ここで重要なことは、社会正義の基準ということである。
幕末動乱のあの時、何を以て正義としたか。
それは、歴史を未来構築のための教材にしようとしている今、改めて検証されるべきであろう。
幕末動乱時の正義の基準は、簡略にいい切れば、朝廷即ち天皇の意に沿っているかどうかであった。
つまり、「尊皇」であるかどうかであった。