さて、いつの時代も、ルールが変わるとビジネスチャンスが生まれる。週休2日制の浸透でにわかに広まった言葉が「ハナモク」である。週末の金曜日は土日のレジャーの準備の日なので、いろいろと忙しい。そこで、木曜日が「自分のために使う時間」であり、需要があると見込まれたのである。

 百貨店の元旦営業も珍しくない今から考えると驚きだが、当時、百貨店は週に1回、定休日を設けなければ営業が認められなかった。定休日は木曜日が一般的であったが、「ハナモク」に対応するために多くの店舗がこれを火曜日に移動。木曜日夕方の浮かれ気分に対応しはじめた。ちなみに、この時間帯には紳士用カジュアルウェアやレジャー用品が売れ筋だったという。

 また、旅行会社は木曜日出発の海外旅行パック商品を数多く投入した。独身OLが木曜金曜に有給休暇を取って、ハワイや香港でリフレッシュ――それが先端でおしゃれだった。

「容疑者の呼び捨て止めます」
こんなに違った報道の常識

 89年11月1日、毎日新聞社が事件・事故報道における被疑者呼び捨てをやめることを発表。他紙、放送局は1ヵ月遅れて12月1日に追随した。それまでの犯罪報道では、逮捕されたり指名手配された場合は、「犯人憎し」の市民感情に配慮して呼び捨てにされていた。

 たとえば、連続幼女誘拐殺人事件の犯人が逮捕されたときの報道は、このようなものだった。

<わいせつ男が綾子ちゃん殺害を自供 奥多摩で頭部の人骨みつかる(1989年8月10日 毎日新聞夕刊)
東京都八王子市内で小学一、四年の女児に「おじさんはカメラマンだ。写真を撮らせてくれ」といって近づき、裸にして写真を撮り、誘拐、強制わいせつ容疑で東京・八王子署に逮捕された男が、十日までの警視庁の調べに対し、「綾子ちゃんを殺し、西多摩郡奥多摩町の山中に埋めた」と自供した。(中略)逮捕されたのは五日市町小和田一八一、印刷業手伝い、宮崎勤(26)。>

 どんな凶悪犯罪であろうとも、日本の司法制度においては推定無罪が原則。裁判で判決が確定するまでは、呼び捨てにすべきではないというのは、当たり前の判断ではある。