トランプ相場の影響でさらに金利上昇

 そこへ11月、ドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領に当選し、トランプノミクスといわれる景気刺激的な経済政策が発表された。規制緩和、減税、そしてインフラ投資等の戦略によって、経済成長率のアップ、そして財政赤字の拡大(国債発行額の増加)が予想されている。そのため、米国債価格の下落=米国長期金利の上昇が発生している。

 金融市場には連れ高・連れ安という言葉がある。たとえば米国の株価が上昇すると、日本の株価も上昇するということだが、これは国債=長期金利でも発生する。現在、米国債の価格が下落=長期金利が上昇し、日本国債も価格が下落=長期金利が上昇している。これが問題を起こしているのである。日本銀行が大量に保有している日本国債の価格が下落=長期金利が上昇すると、評価損が発生し、現在のところ日銀は約10兆円の赤字となっている。このままだと中央銀行でありながら赤字決算ということになる。

長期金利「0%前後」をめぐる攻防

 さらに、10年物国債の金利=長期金利の目標として設定した「0%前後」という枠が、問題を引き起こしている。

 当局の数字の解釈に、金融関係者は大変神経を使う。たとえばこの「0%前後」というのは、現在は様々な状況から判断して「マイナス0.1%~プラス0.1%」と考えられており、このレンジ内での政策運営をしようとしている。金利が上がりすぎても、下がりすぎても、問題が発生する。

 このようなレンジの運営は、通貨制度における為替介入と同様のメカニズムだ。たとえば、長期金利(10年物国債の金利)が上限にくると国債を購入し、国債価格を上げて金利を下げるという操作をおこなう。国債の場合には、国債買入オペと指し値オペがある。

 現在、トランプ相場に連られて長期金利が上昇し、上限のプラス0.1%に近づいてきている。日本銀行は当然、国債を買わなければならない。最近では、オペ予告も実施している。

日銀の国債買入が限度額に近づいたら?

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 通貨制度では自国通貨の為替レートが下落してくると、自国通貨買い=外貨準備のドルを売る為替介入を行う。しかし、外貨準備が底を突けば、それ以上介入はできない。そうなれば為替レートの下落は止められず、通貨危機に陥る。同じことが国債でも発生し得るのだ。

 今年度、日本銀行は年間の長期国債の買い入れ額80兆円という「めど」をもって政策運営している。すなわち買入限度があるのである。投機筋がこの金額を念頭に、市場に挑戦してくる可能性がある。基本的には「めど」を超えての買い入れはできない。逆に世界的には、国債買い入れ額を削減する方向にもなっている。

 こうした日本の長期金利(10年物国債金利)のプラス0.1%をめぐる攻防から目が離せない。今年の金融政策はこの長期金利=国債管理政策がメインになる可能性が高いと考える。