さらに詳しく聞いてみると、その「カフスボタン」は、グローバル企業における全社員のなかでも30名ぐらいしか持つことが許されていないものでした。つまり「エグゼクティブの証」であったのです。

 そのことを聞いて、ほくそ笑みながらカフスボタンを丁寧に磨くA氏の様子が、ありありと伝わってきました。

 A氏にとって、そのカフスボタンは、ある種の「ステータス」であり、まさに「勲章」そのものだったのです。

一流のリーダーはアイテムを
「見せびらかす」ことはしない

 エグゼクティブだけが持つことが許されているカフスボタン。

 普段身につけないからこそ、カフスボタンが「特別なもの」として浮かび上がるのでしょう。その「カフスボタン」は、「特別な場」を演出してくれるアイテムであり、なおかつ、A氏に「勇気」を与え、「自信」をみなぎらせるものだったでしょう。

 一流のリーダーたちが身につけているもの。それは「腕を動かす」「立ち上がる」といった日常的な行為のなかに見え隠れする「上品かつ上質なもの」ばかりです。

 職場で豪華な腕時計を見せびらかすようにつけて喜んでいる人もいるようですが、本連載第34回『なぜ一流のリーダーはゴールドの腕時計を身につけないのか』にも書きましたが、一流のリーダーは、決して「見せびらかす」ことをしません。

 むしろ、「見え隠れする」ものや「垣間見える」もの、また「顔をのぞかせる」ものを好みます。「カフスボタン」は、その良い例ではないでしょうか。

 常に、多くの人たちの視線がリーダーに注がれていますが、特に昇進をするなどポジション(立場)が変わると、さらに多くの人たちからの視線がリーダーに集まります。

 なかには、「痛いほどの視線」を浴びているリーダーを見ていて、「いつの日か倒れてしまわないだろうか」と、今となっては余計な心配ではあったと思いますが、そんなふうに思ったこともあります。