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シリコンバレーで考える 安藤茂彌

2015年に日本の財政破綻が発端となって、日本発の金融危機が起こるのか?

安藤茂彌 [トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学特任教授]
【第41回】 2011年3月3日
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 もう一つの問題はどの国が日本を助けてくれるかである。米国は自国の財政をバランスさせるのに精一杯である。欧州も域内問題国の救済で忙しい。IMFは日本のような大国が倒産するのを前提としていない。救済するには日本の負債額が余りに大き過ぎるのである。海外メディアは日本を救済できるのは中国以外にないとみる。中国の外貨保有額は240兆円もあるからだ。だが中国が実際に日本を助けてくれるかは大きな未知数だ。

 日本政府が立ち往生しているときに、ヘッジファンドは益々「日本売り」を加速させるだろう。日本発の金融危機が世界を揺るがすかもしれない。日本の財政収支を安定させるために諸外国は自国の繁栄を犠牲にして巨額な資金を日本の救済に注ぎ込まなければならなくなるからだ。世界は日本政府と日本人の「無策」「無責任」を容赦なく叩いてくるだろう。

 日本はいま来年度予算編成の時期にある。だが、根本的な日本の問題に向き合った議論は全くない。与党は小沢問題でガタガタしているし、野党は政権交代させることしか頭にない。日本の将来に向けた議論はせずに、政党間の足の引っ張り合いだけに終始している。

 いま日本政府がすべきことは、世界に向かって「日本は大丈夫です」、「日本政府は自国の問題を自分たち自身で解決できます」というメッセージを発することである。それには諸外国が取り組んでいるように、今すぐに「財政規律」を導入し、国債削減の時期と金額を明確な政策目標にするしかない。しかし、日本の政治家はこれができるのか。日本人が個々の既得権を捨てて、いま以上に耐え忍ぶことができるのか。

 日本人は太平洋戦争の終結を最後の最後まで引き伸ばし、原爆を浴びた。戦後の復興は米国主導で行われた。過去70年間に、日本人には自国の命運を左右する大問題を自らの手で解決した実績がない。「日本の倒産」を日本人自らの政治的意思で未然に防ぐことができるのか。それともまた重大な決断を「外圧」に委ねるのか。いま日本が世界から問われているのは、日本人の「政治的成熟度」すなわち「民度」であるように思われる。

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安藤茂彌
[トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学特任教授]

1945年東京生まれ。東京大学法学部卒業後、三菱銀行入行。マサチューセッツ工科大学経営学大学院修士号取得。96年、横浜支店長を最後に同行を退職し渡米。シリコンバレーにてトランス・パシフィック・ベンチャーズ社を設立。米国ベンチャービジネスの最新情報を日本企業に提供するサービス「VentureAccess」を行っている。VentureAccessホームページ

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シリコンバレーで日本企業向けに米国ハイテクベンチャー情報を提供するビジネスを行なう日々の中で、「日本の変革」「アメリカ文化」など幅広いテーマについて考察する。

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