トランプの言動は
産業や経済を混乱させるか

 トヨタは、米国とカナダ、メキシコを含む北米生産で米国に供給する比率は7割。トヨタにとって北米はグローバル販売の3割、営業利益の4割を占める稼ぎ頭だ。それだけに、今年6年ぶりに全面改良する最量販車の新型カムリに懸ける期待は大きい。今後5年間で米国に1兆1600億円を投資することを表明したのも、AI子会社であるTRIへの積極投資も含めたさらなる米現地化の投資計画の積み上げだろう。

 トランプ氏のツイートにデトロイトショーでいち早くアピール対応した豊田章男トヨタ社長に対し、戦々恐々としている自動車メーカーも多い。トヨタの対応の前に米フォードが新年早々の3日にメキシコ小型車新工場移管を撤回したのがそもそもの発端だ。マツダ帰りであるフォードのマーク・フィールズCEOは「我々はグローバル企業だが、母国はここ米国だ」とし、投資計画を修正してミシガン州への投資転換を表明した。空調機器メーカーのキャリアのメキシコ工場移転撤回に続くフォードの投資戦略の転換は、自動車業界に波紋を投げかけた。フィアットクライスラーも続いて米国工場への投資増強を表明した。

 だが、米自動車業界の雄として復活してきたGMは「生産計画は2~4年先を見据えているもの。米国雇用には従来から尽くしてきている」(メアリー・バーラCEO)とトランプ発言にひるむ様子は微塵も感じられない。

 いずれにしても大国である米大統領が個別企業の経営戦略にまで介入することは、産業や経済を混乱に陥れる。単に米国への投資を呼び込むためだけであれば、政権誕生後は、しっかりと産業政策・経済政策を打ち出して「米国を再び偉大に」してほしいものである。

(佃モビリティ総研代表 佃 義夫)