ホテル投資は早くも幕引きか?
中国当局が外貨持ち出し規制を強化

 その一方で、中国資本によるホテル投資もそろそろ幕引きか、という憶測が飛ぶ。

 中国外貨管理局がさらなる外貨持ち出しの規制強化に乗り出したからだ。中国からの資金流出は一向に歯止めがかからず、2014年に4兆ドルに迫った外貨準備高は、2016年末には3兆ドルを割りこむ寸前にまで陥った。

 中国では「年間一人当たり5万ドル」までできた個人の人民元の外貨両替も困難になっている。当局は今年1月から、銀行での申請書に送金金額の用途や利用の期限までをも記入させるようになったのだ。

 また、銀聯カードでの海外ATMを利用した外貨引き出しも不便さを増している。2016年初から引き出し額に年間10万元(約190万円)の上限が設けられた上、従来は一度に1万元を限度に引き出せた外貨も、最近はそれができなくなった。「偽造された銀聯カードによる不正引き出しがあったため」(銀聯国際)というが、これもまた「外貨持ち出し」を規制したい中国政府の思惑と無関係ではないだろう。

 注目したいのが、2016年12月6日に行われた、発展改革委員会、商務部、人民銀行、外貨管理局の4部門合同の記者会見だ。ここで焦点となったのは「対外投資に対する当局の管理強化」だ。

 この会見で当局は「不動産、ホテル、映画、娯楽、スポーツクラブなどの領域において非理性的な対外投資の傾向がある」と指摘。中国の専門家の間では「この5業種の投資プロジェクトの海外投資については、今後厳しい審査が設けられる可能性がある」とする懸念が高まっている。

 奇しくもこの日、北京では日本貿易振興機構(ジェトロ)による「訪日ビジネスフォーラム」が開催され、中国の投資家に向けて日本のホテル投資の魅力が呼び掛けられていた。

 経済産業省所管の独立行政法人であるジェトロが先頭に立って中国資本を誘致する背景には、赤字経営の宿泊施設の救済、ひいては日本の地方経済の救済があるだろうが、今後はこうした活動にも影響が出る可能性がある。

 一方、当の中国にとっても大きなジレンマとなる。中国政府が2000年代から奨励してきた「走出去」(中国企業の対外投資)だが、資金流出の増加の懸念からブレーキを踏まざるを得ないからだ。中国人が大好きな“モノポリーゲーム”もここで「一回休み」となりそうな気配だ。