国土交通省が3月22日に発表した公示地価(2016年1月1日時点)。東京や大阪の都市部の地価が大きく上昇し、全国平均でも8年ぶりに上昇に転じた。地価上昇の原動力となっているのが、訪日外国人たちだ。
心斎橋は45%上昇も!
ホテルも店舗も大繁盛
今回発表された公示地価で目を引いたのが、東京・銀座と大阪・心斎橋。銀座4丁目の「山野楽器銀座本店」は1m2あたり4010万円と、2008年の3900万円を上回り、過去最高を更新した。
上昇率では、昨年は銀座が上位を席巻したが、今年は大阪だった。心斎橋や難波、道頓堀といった南部エリアが好調で、心斎橋では前年比で45.1%もの大幅上昇を記録した地点も。全国の商業地上昇率トップ10のうち、6地点が大阪だった。
こうした地域の地価上昇に貢献しているのは、今や訪日外国人たちだ。特に中国人観光客の「爆買い」は昨年、大ブレイクした。大型バスで続々と乗り付け、百貨店から家電量販店のみならず、地域の小規模店舗でも、彼らが買い物をする光景を見ない日はない。
不動産サービス大手・シービーアールイー(CBRE)の佐々木清次・バリュエーション&アドバイザリー・サービス本部シニアディレクターは「元々、人通りも多くてモノも売れていた地域でしたが、爆買い効果で客単価が上がり、その結果、店舗の賃料負担力が上がったことで、賃料値上げ交渉が進みました」と話す。
小売店だけではない。大阪ではホテルの客室数も大幅に不足している。観光庁の宿泊旅行統計調査によると、昨年の宿泊施設の稼働率全国トップに輝いたのは大阪府。シティホテルのみならず、ビジネスホテルも平均で9割近い稼働率で、ほぼ満室状態と言っていい。もはや、出張であっても1万円以下で部屋を見つけるのは難しく、あるホテルはかつて7000円で泊まれたのに、今では1万9000円にまで値段がつり上がっている。
現在、200室前後の大型ホテルの建築計画が幾つも持ち上がっており、「開発用地不足も地価押し上げの要因になっています」(佐々木・CBREシニアディレクター)。当分はホテル建設ラッシュとなりそうだ。