だが、新興国販路に強みを持つとされるナイコメッドの買収が今でも「高い買い物だった」(アナリストなど)と批判されるように、今回の買収にも外野からは疑問の声が漏れる。

 買収価格は1株24ドル(約2800円)で、プレミアム(上乗せ額)はアリアドの前週末(6日)の終値に対して約75%。あるアナリストは「最近のプレミアム平均は50%ぐらい。相も変わらず、高い買い物をした」と眉をひそめる。

市場冷ややか前日比+1円

 需要拡大が期待できるがん領域の買収とあって、武田薬品の株価は10日一時、前日(前週末)比85円上昇。しかし、終値は結局、同プラス1円だった。

 業界他社にもさほどインパクトはなかったよう。関係者は一様に「すごい金額」と目をむくが、「パイプラインだけ見れば高値つかみ。買収先の研究基盤が魅力的なのか、武田薬品の意図を何とも図れない」「背水の陣、武田薬品苦渋の選択」といった冷ややかな反応だ。

 米国の製薬ベンチャー買収市場は総じて高騰しており、国内メーカーは「内容に見合う価格になっておらず、買収を株主に納得してもらえない」(製薬大手社長)となかなか手を出せずにいる。

 その中での今回の巨額買収劇に、「追い詰められた王者」の意地が見える。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 土本匡孝)