双日は発足当時から多額の損失処理に追われ、08年のリーマンショックでは大幅減益に直面した。近年は増益を維持するが、連結純利益は300億円台にとどまり、資産規模などでも他の総合商社との差は明らかだ。

 04年以降に双日に入社した若手らは、そんな忍耐と低成長の時代しか知らない。折しも鈴木商店が日本一となってから100年に当たる今年、日本の産業界をけん引した先人たちの偉業を、社員の発奮材料としたいところだろう。

 ただし、このような“国威発揚”を冷ややかに見る目も社内にはある。

「この10年余の間に財務畑出身者が会社の実権を握り、営業出身は冷遇されている。かつて多くいた野心的な剛腕営業マンが、今の保守的な双日から生まれるはずがない」と、旧日商岩井出身のある社員は嘆く。

 100年前、鈴木商店が日本一になり得たのは、営業の現場を知る金子がその商才をふんだんに発揮できたことが大きかった。営業マンが“冷遇”を感じてしまうような商社に、成長発展は望むべくもない。

 無論、金子の独裁がガバナンスの欠如を招き、鈴木商店の破綻に至った歴史は無視できない。だが、低成長時代が続く今の双日は、リスクを恐れない先人たちの起業家精神こそ、真に学ぶべき時にあるのではなかろうか。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 重石岳史)