日本──経済と対米関係及び近隣諸国関係のリスク

 日本については当面、円安株高の基調が続き、日本経済にとって順風となって行くのだろうが、成長戦略は十分ではない。米国の離脱によりTPP(環太平洋パートナーシップ協定)発効の見通しが薄れたことや消費税増税を含め財政再建の見通しが立たないこと、金融政策の硬直性など、日本経済に対する信頼が損なわれていくリスクがある。

 対外面ではトランプ政権下の米国との関係のリスクは高い。日米安保関係に対する正しい理解を求めることがまず重要である。TPPについては当面米国抜きで発効させ米国の将来的加入の道を開く方策を追求するべきだろう。同時にRCEP(東アジア地域包括的経済連携)や日中韓経済連携協定、日EU経済連携協定は迅速に進めていくべきだろう。米国の保護主義には有効な手立てとなる。

 米国は中国と厳しく対峙していく可能性と大きく関係進展を図る可能性が相半ばする。いずれに行っても日本の対外関係に与える影響は大きい。日本はアジア政策を見直す機会とすべきだろう。今こそ中長期展望に基づき、中国とのウイン・ウイン関係を追求することが米国の対中政策の変化に拘わらず重要なのではないかと思う。そのようなグランドデザインがなければ日本の将来的繁栄へのリスクは高い。

(日本総合研究所国際戦略研究所理事長 田中 均)