突然の強烈な尿意で
走りながら失禁

「すみません、トイレ貸してください!」

 突然耐え難い尿意に襲われ、必死の形相で嘆願した晶子さん(仮名・58歳)に、年若いコンビニ店員は冷たかった。

「お手洗いはお貸ししておりません」

 きっぱりと断られてしまったのだ。

(あんな冷たく断るなんて、自分のお母さんが同じ目にあったらどうするの?あなただって、いずれ年を取ったら、私のこの切羽詰まった辛さが判るはず。もう、絶対、あのコンビニでは買い物しないわ)

 など心の中で悪態をついてみるが、実際問題、膀胱は爆発寸前で、それどころではない。

(そうだ、駅! 駅のトイレに行けばいいんだ。急がなくちゃ)

 履きなれないハイヒールの高いかかとを、ポッキリ折れそうなくらい酷使しながら晶子さんは走った。

(見えた、あと少し)

 そう思った瞬間、足首をがくっとひねり、よろけた。そして……

「あ、あ~~~~」

 周囲の通行人が思わず振り向いてしまうほどの悲鳴と共に、失禁してしまった。

 悲鳴の後はもう、笑うしかない。