実際、石川区長の掲げるキャッチフレーズは「ちよだを守る」。4期という長い間、区長を続けてきた割には、決起大会で本人が語った具体的な政策は「ポイ捨て禁止」くらい。石川区長が「考えが近い」とアピールする頼みの小池都知事も、自民党に対する明確な対抗軸を示せているとは言いがたい状況だ。

 4年前に行われた千代田区長選挙では、8287票で当選した石川区長を次点候補は7023票まで追い上げており、その差はわずか1264票。現職有利の法則と小池都知事の勢いが勝つか、自民党の盤石さと与謝野のブランドが勝つか、勝負は激戦になるだろう。

 もしこの戦いで石川区長が負ければ、小池都知事にとっては厳しい展開が予想される。127議席の都議会で自民党は60議席を保有するが、小池新党がどこまで議席を奪うことができるかは、この千代田区での「本丸での戦い」の結果に左右されるだろう。

安倍政権は盤石だが
「米国第一」に翻弄される日本

 首都東京では小池都知事が自民党と対決姿勢を強めているものの、国政に目を向ければやはり自民党政権が盤石であることに変わりはない。いくら小池都知事の影響力が強いと言っても、それはあくまで東京都限定の話だ。

 年明けにも解散があるのではないか、との見方が強まっていたが、安倍総理は解散説を明確に否定しており、見送られる算段だ。その理由は明白で、「解散する理由がない」からだ。

 最大野党である民進党が、蓮舫氏を代表に据えてもあまり党勢に回復の兆しが生まれなかったことが最大の要因だと筆者は分析している。

 また、大阪府と一部の関西で根強い支持を得ている「維新」も、じり貧の一途をたどっており、自民党に対してプレッシャーを与えることができていない。

 昨年のクリスマスイブに橋下徹氏が安倍総理と面会したことからもわかるように、安倍総理は橋下徹氏の影響力には一定の注意を払っていると言える。

 だが、「維新」が自民党に歩み寄る現実路線をとるにつれ、野党としての対決姿勢は見えなくなり、国政における存在感は薄れてしまっている。今年の秋には堺市長選挙が予定されているが、4年前の選挙では維新候補が敗北している。今年の選挙で再度維新候補が敗北すれば、大阪における維新の党勢はさらに低下するだろう。

 そんな国内に敵なしの盤石な安倍政権だが、唯一の脅威があるとすれば、トランプ大統領の言動だろう。

 過激な言動で連日のように物議を醸すトランプ大統領だが、昨年ようやく署名にこぎつけたTPPも白紙に戻ることがほぼ確定し、日本へも大きな影響を与えている。今のところ、為替は円安に向かい、日本の輸出企業や株価には有利に働いているが、このままアメリカの輸出企業にとってマイナスである「ドル高」が進むことをトランプ大統領が放置するとは思えない。もしトランプ大統領がドル高対策に本気で取り組み始めた場合、再び急激な円高が日本を襲う危険性もあり、安倍政権への支持率にも影響を与えてしまいそうだ。