和と洋の店が合体し、客も合体

 1992年のこと、正男の妻(春美)の兄が「ビルを建てる」と言った。現在、いいまがある場所だ。

「どうしても、ふたりに店をやってもらいたい」

 義兄からそう言われ、悪い話ではない。正男、三郎ともに異存はなく、「合体して」、あらためて「いいま」と名乗って、新店をスタートすることにした。

 ふたりの店に付いていた客たちもまた合体。それまで和食ばかり食べていた客は洋食のおいしさを知り、洋食好きだった客は刺身やてんぷらに魅力を見出した。最初から和洋食の店を始めるよりも、ふたつの店が合体した方が営業的には成功だった。

 正男は「うまくいきましたね」と語る。

「兄弟ですから、お互いに言いたいことを我慢しないようにしています。たまに和食だけが出るとか、洋食だけの注文が多い日があるんですけれど、その時だけは邪魔にならないように手伝います。でも、たとえば、僕は刺身を切ったりはできない。揚げものを手伝うくらい。普段はまったく違う仕事をしています。厨房のなかで、弟が忙しくしていても、私は和食の仕込みをやっていたり……」