多くのキャリアコンサルタントは、コトの課題を深掘りして、ヒトの課題・悩みにまでは踏み込みますが、“最善を尽くす”という観点から言うと、十分ではありません。

「キャリアコンサルタント」という
国家資格が誕生

前回の最後に、人工知能(AI)やロボットが劇的に進化するのに伴い、少なからぬ職業が変化せざるを得ないという話をしました。今回はいわばその続きです。そんな危機にさらされている「職業の価値」について考えてみたいと思います。

 2016年より、従来バラバラに存在していたキャリアカウンセラー、キャリアアドバイザー等の民間資格が、キャリアコンサルタントという国家資格に一本化されました。これに伴い、国家資格であるキャリアコンサルタントの意義・役割について講演する機会をいただき、最近、その下打ち合わせをしました。

 国家資格化することに伴い、いったい何が変わるのだろうかという話です。

 国家資格となることで、登録制となり名称独占が許される一方、倫理規定・守秘義務規定などプロフェッショナルとしての責任が問われることになりましたが、だからと言って、従来からあった民間のキャリアカウンセラー/コンサルタント/アドバイザーと基本的には仕事の内容は変わりません。

 ちなみに国家資格のキャリアコンサルタントのさらに上位資格としてキャリアコンサルティング技能士1級(指導レベル)・2級(熟練レベル)があり、これに標準レベルのキャリアコンサルタントを足して、公的に3段階のキャリアコンサルタント資格ができたわけです。

 実は、「国家資格ってなんなんでしょうね?」と担当者に尋ねられ、私も即答できずに考え込んでしまいました。

 国家資格とは、「公的に認められた専門職」であることには間違いないのですが、「なぜ国家資格が必要なのか、その存在意義は何か」と改めて考えました。そこで、代表的な国家資格である、医師資格について考えてみました。