昔取った杵柄とばかりにフットサルに燃えるKさん、42歳。とはいえ衰えは隠せず、なんでもないプレーで膝の前十字靱帯を損傷してしまった──。

 中高年の膝関節の痛みといえば変形性膝関節症が代表的だが最近はスポーツ性の外傷が増えてきた。アクティブなことはよいとして、やはり加齢に伴う変化には十分注意してほしい。

 たとえば、太腿と下腿をつなぎ、膝の安定性にきわめて重要な前十字靱帯の損傷は、急な方向転換や不意な動き、軸足動作で発生することが多い。筋力不足やアンバランス以外に、姿勢や動きを乱す外部からの刺激に対する神経の反応と筋肉との協調運動(神経・筋協調運動)の低下も強く影響する。

 つまり、筋力低下が避けられない中高年の場合、単純な筋力訓練よりも、神経・筋協調性を向上させ、今ある筋力をいかに上手に使えるようにするかがケガ防止のポイント。若い頃のプレーイメージを一度捨て、年齢相応の安全な動きを見出すためのトレーニングが必要なのだ。