前回までの繰り返しになりますが、すべてを自分一人で抱え込んで「ガンガン育てよう」というプレッシャーを捨て、まず職場全体で若手にかかわるような風土の醸成を考えてみませんか?
責任者は、あなたかもしれません。でも、それは、あなたが独占的に行動しなければならないことを意味しません。
スケジュールを決め、ゴールを設定して、若手のマラソンにも似た成長への歩み(走り)が始まります。職場を代表してあなたが伴走役になったとしても、沿道で多くの人が励ます声が若手のエネルギーになるでしょうし、水の補給だっておりおりにいろいろな人がやるべきでしょう。それをひとりですべてサポートすることは不可能と考える方が自然です。
比喩はやめましょう。日本企業のOJTは長い間、上司と部下という「上下関係」を基軸としておこなわれてきました。その関係に、綻びが出てきている、というのがOJTが機能不全に陥っている原因の一つです。
バブル崩壊後の20年の間に、上下関係の「上」の部分が、かなり変わってしまいました。マネジャーの多くは、プレイヤーを兼任し、数値責任も伴うためにプレイヤーであることを重視せざるを得ない。いきおいマネジャーとしての役割意識は曖昧化します。加えて、「育てられた経験のない層」が上司になり、若手を育成・指導するようになりました。
これでOJTが、かつてのように機能するはずがありません。
職場全体で若手にかかわるべき。マネジャーは、そのような育成の風土を醸成するマネジメントを意識し実行すること。
これが、私が考える、OJT再活性化の方法です。
今も若手は
職場で育っている
「なぜ職場で人が育たなくなったのか?」というタイトルで、足掛け3年、おつきあいいただきました。