職場で「人が育った20年前」と「育たなくなった今」は何が違うのか。このような問いかけから、本連載はスタートしました。「昔は良かった」 などと暢気にノスタルジーに浸るつもりは毛頭ありません。昔だって、若手の育成には、いろいろな問題があったはずです。この間にビジネス環境も大きく変わりました。コミュニケーション環境も様変わりし、働き方そのものも変わりました。そのような現状をふまえ、それにフィットした育成とはどのようにあるべきか。今回から、数回のまとめ編に入ります。

マネジャーの努力で
できることと、できないこと

「入社から3年経たずに若手が辞めてしまう」、「なかなか思うように育たない」、「ちょっと叱るとへこんでしまう」、「折れやすい」……

「いまどきの若手」の育成にまつわるさまざまな問題を取り上げ、背景の分析をし、善き育成のためのヒントを探ってきた本連載は、2009年12月にスタートして、はや足かけ3年目。そろそろ、総まとめに入ろうと思います。

 時々のトピックをめぐって寄り道もしましたが、連載では「職場で人が育たなくなった」要因と背景を検討する状況分析編からソリューション編へと展開してきました。

 若手が能力を向上させるためには、3つの側面から考える必要があると私は考えています。

(1)若手自身の自助努力
(2)マネジャーのサポート力
(3)組織の関与力

 (2)と(3)は、それを融合させて、さらに3つに分ける必要があるかもしれません。

<1>マネジャーが個人的におこなう努力
<2>マネジャーが育成力のある職場に変えるマネジメント力
<3>会社全体が育成する風土になるための経営者の努力